私たちの教会がダルクと関わるようになったのは、山梨ダルクが始まった2008年ののこと、一本の電話からでした。「佐々木と言います。山梨でダルクを始めました。力を貸していただけないでしょうか」と。そして、話を聞いてみることにしました。
米クリスチャニティー・トゥデー誌のライターであるフィリップ・ヤンシーの「深夜の教会」というエッセイがあります。AAグループ(アルコール依存症の自助グループ)での真実な魂のやりとりを書いた本で、キリスト教会が本来持っているはずの「真実な交わり」を問いかけるものでした。それを読んでいた私は、何かできないかと思ったのです。
私を含めて教会の皆が、「薬物と関わる人たちは危ないんじゃないか」、「何度繰り返しても止められない人たち」という漠然とした理解と偏見しか持ち合わせていませんでした。「とりあえず、先生、様子見てきて」、「先生が責任も持つならいいでしょう」となんとも心許ない関わりの始まりでした。
当事者の一人である中山大輔兄が礼拝にも通うようになりました。そして、機会ある毎に教会員も依存症セミナーなどで学ぶ機会をいただいて、皆で依存症についての理解を深めていきました。やがて、依存症と正常?の境界線などなく、誰もが持っているものが、少し極端に現れたものが依存症であって、むしろ、人の弱さや罪深さ、そして、自助グループでの真実な交わりや回復に学ぶことの方が多い関わりをいただいてきました。
残念なことに中山兄は2017年、突然の事故で天に召されました。しかし、それ以後も何人かが礼拝に集い、今も交わりをいただいています。依存症回復グループはみな、回復のための12ステップを持っています。それは、キリスト信仰にルーツをもったものです。ですから、それがキリストの救いに結びつき、教会の交わりに結びつくようにと受け入れ、祈りをともにしたいと願うのです。