「五つのパンと二匹の魚」マルコ6:30-45

 五つのパンと二匹の魚の奇蹟、続々と集まっている大群衆、そこにイエスさまが教えをしている間に遅い時刻になったという話です。群衆はそれこそ食べることや時間なんて忘れてしまうほど、イエスさまの教えを聞きたいと人々はここに集まっているのです。

  イエスさまはどのような心でこの群衆をご覧になったのでしょう。イエスさまの行くところ、人、人、人・・・絶えず人が追いかけてくる。湖を舟で渡ろうものなら、先回りしてでも待ち受ける。「羊飼いのいない羊の群れのよう」に見え、「深くあわれみ」、教え始められました。人々が羊飼いなる神から離れて罪の中を生きている。三々五々、右往左往している姿をそのようなまなざしで見ておられるのです。なんと温かなまなざしでしょうか。

 そのイエスさまは、弟子たちに、「あなたがたが、あの人たちに食べる物をあげなさい。」(37)と言われます。この直前、弟子たちはイエスさまに遣わされて、村々を巡っては病をいやし、悪霊を追いだしてきた。その報告をしたばかりでした。イエスの御名の権威をまざまざと見てきたばかりです。ところが彼らの答えは「私たちが出かけて行って、二百デナリのパンを買い、彼らに食べさせるのですか。」という答えです。信仰を働かせてことをなそうとは考えていないのです。

 イエスさまはそこにある五つのパンと二匹の魚をして、12のかごに余る程を与えてくださいました。イエスの言われるままに従うならば、人知を超えて、豊かな祝福をいただくのです。自分たちの枠の中でしかイエスさまを捉えられなかった弟子たちにとって、この体験は、イエスに従いゆくならば、それをはるかに超える恵みにあずかることを知ったことでしょう。

 私たちも羊飼いのいない羊のようにさまよう者たちでしたが、羊飼いなるキリストに従う群れとされました。このお方が、私たちを養い、豊かに与えて導いてくださるのです。