「偽りに踊らされ続けていいのですか?」使徒19:21-41

 原子力はギリシャ神話から未来の火として「プロメテウスの火」と呼ばれてきました。それを事故の後、朝日新聞は「罠」と名付けて記事を連載しました。私たちの多くは、原発の危険性を聞きはしてきたものの、このような重大事故が起こるまで、二酸化炭素を出さないクリーン、かつ何重もの安全技術で守られていると思ってきたのではないでしょうか。しかしひとたび、当たり前だと思っていたことが破綻してすべてが明るみに出たときに、私たちは初めて偽りに踊らされてきたことに気が付くのです。

 さて、エペソの町のアルテミス神殿は古代七不思議の一つに数えられ、世界30箇所以上で礼拝が行われていた神です。言わば奈良か鎌倉の大仏というようなものです。ところがこの町でもアジアでも、多くの人たちが信仰に入り、魔術本を焼き捨てて生き方を変えました。偽りの神々に踊らされてきたことに気付き、悔い改めて真の神を信じたのです。

 ところが、神殿のレプリカを作っていた者たちが商売上がったりと言いがかりをつけました。彼らが踊らされているのは、自分の利益を求め、頑なにそれを守ることです。アルテミスは商売の道具に過ぎません。実に真の神を認めずに生きるなら、自分で自分を守るしかないのです。だから欲張り、集める、奪うのです。物や財産はやがては朽ちていくもの、突然奪われるものであること、でも人はその偽りの「罠」に騙されやすいのです。

 一方、いのちのルーツである神を信じるなら、「神生かしたもう。神養いたもう。」と信じるなら、恐れものは何もありません。空の鳥を、野の百合を見なさいとイエス様は私たちに問いかけておられます。自分のためにと偽りと欲に生きるのではなく、喜んで与える愛に生きることができるのです。

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