アスパラと時を待って

 先週のこと、センターの庭にいただいた野菜の苗を植えるために少し伸び始めた雑草を抜き払い、土を耕して苗を植えました。すると、すでにこぼれ種から芽を出したミツバやパセリに混じって、アスパラガスの芽が出ているのを見つけました。昨年、種蒔きをしたものです。すっかり忘れていました。種を蒔いてから一年間、それは育つのを待つ期間です。冬の間、地上に見える部分は枯れます。その存在すら忘れてしまっていた程です。

 植物を育てているといろいろな不思議に気がつきます。その目標は、よい実をあるいは収穫を得ること。そのためにはよい土を作ることや水の管理、肥料の管理をして、よい環境を作ってあげることが一つ。病害虫から守ったり、伸び放題にならないように誘引したり、間引きをしたり、整枝をして整えることが一つ。その他にもその時期に応じてするべきことがあります。

 アスパラの場合、今年出た新しい芽は、収穫せずにそのまま育てます。株を育てなければならないからです。3年経って株が充実すると収穫できるようになります。新芽を収穫するのがアスパラですから、株に余裕がないうちに新芽を収穫してしまうと株が弱ってしまうからです。欲張ってそれを採れば、その成長を妨げて、次の収穫が期待できません。

 人の成長、新しいことを始めるとき、そこにも様々な原理が働きます。期待膨らませて始める時があります。忍耐を持って待たなければならない時があります。思い切って捨てなければならない時があります。何も進んでいないように見える時があります。小さなアスパラの新芽を見て、私はささやかな喜びを覚えます。もう一年待ったら、喜びの収穫を迎える。私たち人が育つことも同じ。時があるのです。主の時を祈りをもって待ちたいものです。