グリーフワークと時間

 スイス生まれの女医であるキュブラー・ロスは200人の末期ガン患者にインタビューを行い、「死ぬ瞬間」という本にまとめ、ベストセラーとなりました。彼女によると、ほんとんどの人が共通する5つの過程を通ると分析しました。第一段階はこんなことが自分に起こるはずがないという否認、第二段階はどうして私がこんな目に遭わなければならないのかという怒り、第三段階は悪いところは改めるから命だけは助けて欲しいという取引、それがかなわぬことを知ると、第四段階の抑鬱に入ります。思い残しややり残しがあるのに死んでいかなければならないという失望です。そして最後にそれらをして最後に受容するようになる。すべての患者が全く同じわけではありませんし、行きつ戻りつということも個人差があります。しかし、それをする時間があります。

 一方で津波や地震、事故や急死などは一気に失う喪失体験です。喪失体験は時間をかけて行われるべき過程の一切を通り越して「思いがけないことを受け入れること」を要求します。それらはグリーフワーク(悲嘆のプロセス)またはモーニングワーク(喪の作業)と呼ばれます。これには、ショックの段階、怒りの段階、抑鬱の段階、立ち直りの段階という4つの過程、あるいは感情マヒの時期、思慕と探索の時期、混乱と絶望の時期、脱愛着と再起の時期があるとも言われます。いずれにしても人間にはことを受け入れるのには時間を要するということです。

「天の下では、何事にも定まった時期があり、すべての営みには時がある…泣くのに時があり、ほほえむのに時がある。嘆くのに時があり、踊るのに時がある。」伝道3章

 時が必要な人に心を配り、また自分の心を正しく主にあって理解(することができるようにと願うものです。(2011.6.26再掲)