ローランド・ビングハムの生涯(3)<神が導く出会い>

 カナダへの移住したローランドは、農場に職を得、救世軍に加わり、路傍伝道にいそしみます。そこで、ジョン・サモンという著名な牧師に出会います。サモンはローランドの働きを評価し、そして、訓練を受けることを勧めるのです。自分の牧会助手として奉仕をし、彼から聖書を学びます。

 教会で奉仕を始めると、一人の婦人が彼を招きます。彼女の息子ウォルター・ゴーワンズはアフリカ大陸での伝道を志して準備をしていました。彼はアフリカに派遣する宣教団体を探したのですが、危険なアフリカに遣わす団体は一つもなく、彼はイギリスにそれを求めて向かっているところだったのです。

 彼女はローランドにアフリカ伝道のチャレンジを与えます。アフリカ奥地のスーダンはサハラ砂漠以南の広大な土地。西はニジェール川、東はナイル川に挟まれたアフリカのベルト地帯に九千万人の人たちが住んでいます(現在はいくつかの国に分かれている)。「そこには宣教師は一人もいないし、クリスチャンは一人もいない。」しかも北部はイスラム、南部は迷信に囚われた異教徒で、それがゆえに、呪術、人食い人種もいれば、争い、戦いと奴隷が横行している暗黒の地だと彼女は説明し、「あなたはどうでしょうか」と問いかけるのです。

 その問いかけのことばが何度も何度も彼に迫りを与え、彼は決断します。支援者が与えられ、ウォルターの友人であるトム・ケントという同行者が与えられ、一つ一つの出会いを与えられて、道が備えられていくのです。

 一方、アフリカ奥地は熱帯の地に倒れ、白人の墓場と言われた場所。しかも、たった3人でどう向かえるのか。神が必要を満たし、ことをなしてくださる。その単純な信仰が彼らを前進させたのです。