ローランド・ビングハムの生涯(4)<スーダンを見ることは決してない>

 ローランドら3人はイギリスでも後援する宣教団を見つけることができませんでした。ならば、自分たちで作ればいい。彼らは自分たたちでスーダン奥地伝道団(SIM)と名付け、ゴーワンズ夫人が理事会となりました。

 彼らはまずラゴス(現在のニジェールの港町)へと旅立ちました。ラゴスに着くと、メソジスト宣教団の責任者から招きを受けました。現地の情報を直接に知る人から情報を聞くことは彼らにとっての大きな期待でした。しかし、彼は「あなた方がスーダンの地を見ることは決してないだろう、命を無駄にするものではない」と言うのです。時を前後して6人の宣教師たちが、ローランドたちと志を同じくして来たものの、直後に4人は亡くなり、一人は病気のために帰途に着き、たった一人で奥地を目指すことになりました。その命さえどうなるかわからないのです。ローランドはこの使命のためには命をささげようと心に誓います。

 一方、彼らの働きのために資金が不足していました。それが思いもかけない方法が与えられるのです。イギリスで知り合った家政婦が大金を送ってきたのです。彼女は遠い親戚から遺産を受け取り、それを献げることを導かれた。それを聞いた彼女の主人、周りの人たちが一緒に献金して多額のお金が集まったのです。

 これに勇気を得るや、ローランドはマラリヤに襲われます。そして、先の6人のうち残された一人、ヒル主教も突然の病で帰らぬ人となってしまいます。いったい自分たちはこの使命を果たすことができるのだろうか。この厳しい状況をどう受け止めたらいいのだろうか。まだ、誰にも福音を語ることすらしていないのに。彼にできる唯一のことは、ひたすら主に祈ることだけだった。