女川の仮設住宅を訪れて

 今回の被災地訪問では、すでに支援の働きをなさっている石巻キリスト教会の伊藤牧師と女川の野ノ浜仮設住宅を訪ねました。この日は、ストーブや毛布などを支援物資を届ける働きです。
 仮設住宅の区長さんにお会いし、集会所に荷を運び入れました。ここでは、支援物資は係が受け取り、全員が揃ったところで分けるといいます。区長が受け取って分けると、都合良く自分に優先するようなことをしてしまうのではないかと疑心暗鬼が生じ、一緒に暮らすのが難しくなるからだそうです。実際そのような場所もあるそうで、仲良く暮らすための知恵だとのことでした。
 お渡しした後、集会所でしばしお話しを伺いました。ここ野ノ浜はカキ養殖の浜です。集落にいた人たちは、高台の公民館に避難したものの、そこまで津波が迫り、半分水につかりながら山に逃げたそうです。残念ながら一緒に避難したうちの3人が流されてお亡くなりになりました。
 養殖の道具はすべて流されました。養殖に必要な漁具は12月、2月に入荷の見込みで、再開のための準備をなさっておられます。それでも、水揚げしたカキを滅菌し出荷するための設備に1億円。それを補助金をもらって共同で建て直すにも多額の費用がかかります。出荷は2年後。船が残っている人たちはなんとかできますが、船を失った人たちは、その費用までは捻出できず断念すると言います。しかも区長さんの65才で若い方。高齢化も深刻です。
 実際にお話を伺うとその話はリアルです。
最後に祈らせていただいき、聖書や読み物などをお渡し、また来るねと言い残し、別れを惜しんで仮設住宅を後にしました。生きているということは、生かされてこそ。いただいたいのちの価値を教えられることでした。