年中行事と教会歴

 今年は教会からがアドベント、待降節と呼ばれるイエス様の御降誕を喜び迎える時を過ごします。プロテスタント教会では聖書のみ、信仰のみと言って、暦などを歴史的に重要とは扱ってきませんでした。祝うのは主にクリスマスとイースターとペンテコステです。一方、カトリック教会や正教会では、暦を大切にしてきました。
 カトリック教会では、待降節(降誕日の4つ前の主日から降誕前晩のミサの直前まで)、降誕節(降誕前晩のミサから始まり、「主の洗礼」をもって終わる期間)、四旬節(受難を覚えるレント)、聖なる過越の3日間(聖木曜日の主の晩餐から復活主日まで)、復活節(復活から聖霊降臨までの50日間)という5つの期間と12の年間の暦を覚えます。
 正教会暦では、祭(まつり)と斎(ものいみ・祭りの備え)が行われますが、最も大きな祭りは復活大祭(パスハ)、それとともに12大祭がとりおこなわれます。
 それらの暦は祭りと儀式が中心です。プロテスタント教会が信仰のみ、聖書のみとしたのも一つのあり方、一方で年中行事の中に織り込んで生活に溶け込むようにするのも一つのあり方です。年ごとの繰り返しの中で必ず通るのですから、それはそれで大切に覚えられるのです。
 なぜ、それだけでは足りなかったのでしょうか。それは形式と習慣だけになって本来の信仰が薄れていくからです。年中行事が形式と習慣になり、祭りが騒ぎになっているのと同じです。旧約聖書の歴史もそれを物語っています。どのようにして私たちは信仰を保っていくことができるでしょうか。「わたしが目を留める者、それは、 貧しい者、霊の砕かれた者、わたしのことばにおののく者だ。」(イザヤ66:22)とあるように、その心において主の御前に自らのあり方を問い、神の恵みに目を留めることです。暦を機会としながらその信仰を新たにしましょう。