新宗教と人の心

 新興宗教とも呼ばれる新宗教、それは幕末明治維新による近代以後に起こった比較的新しい宗教を言います。それらは多種多様な宗教を指します。その中でも1970年代以降に発展したのものは、新新宗教とも呼ばれます。

 宗教学者の島薗進は、それを「隔離型」、「個人参加型」、「中間型」と分類します。「隔離型」の団体は、世俗の職業や家庭を捨てて、出家するような共同体を形成しようとします。オウム真理教や統一教会、エホバの証人などがこれに当たります。「個人参加型」は対極にあるあり方です。そして、それは社会のあり方の変化に伴って現れてきたものであろうと分析しています。

 古来から、イエと土地に結びついてきた血縁地縁社会は急速に廃れて都市化が進んだのがこの国のあり様です。核家族化、個人主義化しながらも、人と人との結びつきや関係なくして生きられないのが私たち人間です。病むとき、困った時、行き詰まったとき、悩み多きとき、何かに誰かに頼りたい。それまでは血縁地縁社会はどこかにその受け皿がありました。ところが、それが急速になくなってしまったところに古い宗教はこたえられなくなってきた。年中行事や冠婚葬祭にしか意味をなさなくなってきた。それをどうにか埋めたいという思いが生み出してきたのではないでしょうか。

 一方、キリストを信じる信仰は、神からの啓示であるゆえに、人の願いが生み出したものではありません。しかし一方で聖書を通して語られる神の救いを、今の時代の人の心に届くように語りかけてきたのか、そのことを問われるように思います。また、私たちの交わりが、神の家族にふさわしく、互いを支えるものになっているのだろうかと考えさせられます。悩み病む者の友となられたイエスの足跡に従う群れでありたいと願います。