日々守られている感謝を

 この夏も各地で豪雨を記録し、広島では土砂災害で死者が39人、行方不明者は52人、1,700人が避難しています。災害発生時は72時間が被災者の生死を分けるターニングポイントです。救出時24時間以内なら約90%、48時間以内が約50%、72時間以内が20~30%で生存率が激減するからです。それまでに何とか助け出したい。必死の救助活動が行われています。

 比較的気候が安定して災害の少ない甲府で暮らしているとその恐ろしさはどこか遠い感じがしますが、私のふるさと茨城は利根川のほとりにいると、大雨から2,3日すると普段は穏やかな流れの川が一変します。河川敷いっぱいに茶色の濁流に飲み尽くされ、堤防切れたら恐いなと思うのです。中学生の時に自分のいるところではありませんでしたが一度堤防が切れて、大洪水になったことがありました。

 古農家には必ず舟がありました。何度も何度も洪水に見舞われているからです。国内では昭和30年代(1950年代)まで、度々災害で大きな死者・行方不明者を出しました。近いところでは昭和34年(1959年)の伊勢湾台風は5,098人、29年の洞爺丸台風1,761人、28年の南紀豪雨1,124人。阪神・淡路大震災が6,436人ですから、その規模といい、頻度といい、今が特別多い訳ではないのです。

 治水・砂防技術で川を治め、かつてほどの大規模な死者が起こるようなものは少なくなりました。しかし、急峻な国土、雨の多いこの国は災害あって当たり前なのです。津波もそうですが「これより下、家を造るべからず」という場所があるのです。

 そんな中、私たちが生きているのは当然ではありません。今日も守られ、今日も生かされている。日々の必要が与えられている。ただそれだけでも感謝ではないでしょうか。