福島中通りの汚染と反応

 前々から気になってはいたが果たせなかった福島訪問。神学校の同級生であるK牧師がちょうど一年前、何かできないかと移り住み、秋からは東北ミッションという小さなグループに属する福島聖書教会の牧師として奉仕を続けている。

 東北ヘルプという震災復興のためのキリスト教会協力機関の食品放射能計測所委員会に同席させていただき、その取り組みを伺うことができた。郡山聖書教会には計測機器があり、定期的に計測をしている。

 福島中通りの汚染、それは実は原発直近を除けば浜通りよりも線量が高い。放射性雲プルームは、北西に流れた後、谷間に沿って中通りを通ったからだ。その線量はおおむね0.1~0.2μシーベルトであるがホットスポットもある。除染はそこかしこで行われているが、高圧洗浄機で洗い流しても、それは池や川に溜まる。表土を削りとっても置き場がなく、市内の空き地に運び入れたり、個人宅では筒状のコンクリートで除染土を囲ったり。集めるか薄めるかくらいしかやりようがないのが現状である。

 本来ならば住む場所ではないだろうが、この土地を離れられない人たちがほとんど。5年、10年、20年というオーダーでその影響がでてくることだろう。そうなってくると人によってその捉え方はまちまちだ。被爆の恐れから避難する人がいる。そんなこと言っていたら生活ができないから、話題にしたくない人がいる。利害関係のある人たちは大丈夫と言い聞かせる立場にある。たとえ教会内であったとしても意見は様々。

 何かできないかと願うK牧師の心中も複雑だ。それは単に放射能問題と言っても、物理的、技術的な問題とどまらず、人の心と心の問題となって現れる。それでも悩みをともにし福音を届けられるよう共に祈りたい。