群衆心理の恐ろしさ

 Stay home! との呼びかけに、ほとんどの人は外出を控えています。一方でどうにも出ずにはいられない人たちがいます。その事情は様々で、パチンコをする人、海や山に出かける人、仕事に出ざるをえない人、じっとしていられない人。それぞれに事情は違います。自分くらい大丈夫という思いが、全体に影響するからというのは、もっともです。
 ひとたび、そういう人が感染すると激しいバッシングが起こります。名の知れた人ならなおさらのこと、無名の人もこの時代、うわさが広まって、それはデマであっても拡散に拡散を続けて、住所や顔、プライバシーまで不確かな情報のままに露わにされてしまう。「公開私刑」のような状態になってしまうのが今の世の中です。
 思い当たるのが「非国民」ということばです。戦時中、国民総動員で戦争に向かい、「欲しがりません勝つまでは」という合言葉のもとに国民意識を一つにしようとされました。そして、そこから外れる人は「非国民」と呼ばれて差別を受けたのです。群衆がそのように向かう心理は恐れです。自分が外れて非難されることからの恐れ、いじめの原理ともよく似ています。今の状況はそれとは違うことですが、よく似た群集心理が働いていると思うのです。
 これがどれだけ続くのか、長期戦ということばから、長丁場ということばを使おうと政府の専門家会議の提案がありました。戦いであったら、勝ち目がないからでしょう。これからまだまだ長く続きます。残念ながら感染した人、本人が一番つらい思いをし、猛省をしているはずです。普段の感染症、インフルエンザであったら、誰も責めはしません。「大変だったね」と優しいことばで慰めるでしょう。恐れを乗り越えるのは「愛」です。
 愛には恐れがありません。全き愛は恐れを締め出します。(1ヨハネ4:18)この言葉を心に刻みましょう。