10年に思うこと

 私がこの教会の牧師になって丸10年が経過しました。この10年の間、兄姉が愛と忍耐と寛容とをもってともに支えてくださったことを覚えて感謝を申し上げます。

 思うことにまとまりがついているわけではないのですが、第一に思うことは、私も兄姉もご近所の方々もみな10歳年を取ったなぁということです。日々の変化や2,3年の変化はさほど感じませんが、10年の変化はさすがに大きく感じます。20歳が30歳・・・70歳が80歳ですから。人間必ず老いていきます。この10年で召された兄姉、家族や周りの方々がいます。新しく加えられた命があります。人の営みには限りがあって、許されて共に生かされた10年であったと思うのです。

 人の10年だけではありません。この10年で社会も大きく変わってきたように思います。少子高齢化・非婚化、都会への人口集中と地方の過疎化はは益々進み、若者の就職率は下がり、非正規雇用者が増大しました。若者に将来像が描きにくい社会になりました。一方では政治・政権は右往左往、そのリードもままならないような状態でしょう。教会もまた世の流れと無縁ではありません。そのような波の中を生きているのです。

 そんな中に起こった東日本大震災は国中を震撼させる出来事でした。大切なものとそうでないもの、本物とニセ物が振るいにかけられる出来事であったと思います。

 聖書の特に旧約聖書を読むとまさに国が右往左往するなかで一人一人の信仰者が、そして群れが問われる経験を通ったことが記されています。私たちの経験も決して特別なことではなく、むしろ人の営みは相も変わらず神の御前に問われることは同じなのだと思います。その中で、ともに一つ交わりにある兄姉と救い主イエスに従う歩みを、この福音を共に証しする歩みを続けたいと願うのです。