「神の家族の幸い」ローマ16:1-13

 パウロはローマ人への手紙の最後に挨拶を書き送ります。そこにはたくさんの名前が出てきますが、その中でも13節の「主にあって選ばれた人ルフォスによろしく。また彼と私の母によろしく。」と出てきます。
 森永製菓の創業者、森永太一郎には3人の母がいました。産みの母、育ての母、信仰の母です。母の日を日本に紹介し、広めた彼は幼い頃父親を亡くし、親戚をたらい回しにされた中、引き取ってくれた伯母がいました。志をもって米国に渡ったものの、事業に失敗して苦労する中で、家族同様の扱いをしてくれた老婦人がいました。パウロにとっても、ルフォスの母はそのような存在であったのです。
 ルフォスはマルコ15:21によると十字架を背負ったクレネ人シモンの息子です。彼は過越の祭のためにエルサレムを訪れたのであろう「通りすがり」です。その彼が十字架を背負い、そして、その一部始終を見届けたことでしょう。そして、復活の目撃者ないし、それを直接聞いて福音を信じたのです。「通りすがり」、それは神様が与えてくださった出会いでした。やがて、彼の家族がともに教会に加えられて、彼の妻、つまりルフォスの母はパウロを支える教会の中で用いられる奉仕をたくさんしたのでしょう。「主によって選ばれた人」なのです。
 初代教会にとっての使命は「みことばと交わり、聖餐と祈り」の4つが大切に守られたことでした。「交わり」は多様な拡がりを持つことですが、ここでは、フィベを迎える教会に「あなたがたの助けが必要であれば、どんなことでも助けてあげてください」(2)と言います。それは礼拝生活だけではなく、日々の生活を支え合う麗しい愛のわざがありました。私たちの交わりも神の家族としてそのように支え合う交わりを築きたいと願うのです。それはまず「聞き合う、知り合う」ことから。互いの交わりが安心して心開いて語り、互いに与え合う豊かな交わりにされることを求めてまいりましょう。