私たちは阪神淡路大震災、東日本大震災、二つの大きな大震災を経験しました。かたちあるものは必ず失うときがあり、本当に必要なものはわずかであることを見聞きしてきたはずですが、私たちは地上の宝に目を奪われ、心を奪われる愚かな者です。
1列王21章には旧約史上、最悪の王アハブがイズレエルの宮殿の隣、ナボテのぶどう畑を奪い取った話がでてきます。彼はナボテが譲ることを拒むと不機嫌になり、ふてくされて横になり、食事もしようとしません。男には7人の敵がいるなどとはよく言われることばですが、上手くいかないこと、思い通りにならないことしばしです。男の心は「かっこいい」と「もてたい」、プライドと承認欲求です。彼は王であるのにカッコ悪いのです。しかも妻のイゼベルは慰め正すよい妻ではありません。彼女はシドンの王の娘。政略と経済と地位を求めたアハブの妻になった人物です。彼女の宝もまた地上のこと。そして、彼らはナボテから命も畑も奪い取ります。
使徒の5章に出てくるアナニヤとサッピラ夫婦も同じです。初代教会は物心ともに支え合う交わりでした。ヨセフが畑を売り、バルナバ(慰めの子)と呼ばれると、この夫婦も真似をします。しかし、一部を手許に残します。ええ格好しいです。神にも富にもどっちもうまくやれると人の目を欺きます。しかし神の目をごまかすことなどできません。明らかにされる日が来て、彼らは打たれます。
このような人たちをバカにはできません。私たちとて同じ誘惑に近いのです。地上の宝はむなしいものであることを覚え、旅人であること、神の国を、天を生きるものであることをいつも心に銘じ、地上でも神を愛し、隣人を愛し、天に宝を積む歩みをしようではありませんか。