コロナ禍が始まって以来、私たちは物理的な距離を取って、ウィルスの感染からは守られてきたものの、互いの心理的距離や神様との距離まで開いてきたかもしれません。ヘブル人への手紙は、迫害や困難の中、距離が開きはじめていた交わりを励ますために書かれました。この箇所には、三つの勧めと、その原動力について書かれています。
「神に近づき続けよう」が第一の勧めです(22節)。キリストの血によって、私たちは神の臨在へ大胆に入って行くことが出来ます(19節)。主イエスのわざに信頼し、ありのままの自分を差し出すとき、神は私たちにあわれみと恵みを注いで下さいます。
「希望を告白しよう」が第二の勧めです(23節)。一般的な前向き思考は状況に目を向けて肯定的な要素を探しますが、希望は神に目を向け、神の真実さを励みとします。それゆえ困難の中でも未来の希望を持つことが出来ます。
「互いを気に掛けよう」が第三の勧めです。互いの主に在る成長を促すため、互いをよく見て知ることが勧められています。そのために必要なのが「交わり」です。今こそ集まるべきときだと筆者は訴えます。自分から声をかけたり、とりなしの祈りを献げたり、私たちにできることがあります。
交わりに煩わしさを感じる時もあるかもしれません。そのとき、私たちは「神の家を治める偉大な祭司」イエス・キリストに目を留めることで力を得ます。主イエスを通してキリスト者たちは一つとされます。だからこそ交わりで葛藤を体験するとき、取り持って下さる主を頼ることができるのです。
神様との距離、信仰者同士の距離が開いて行っているように感じる今、主イエスへの信仰に強められ、私たちは神と人との交わりに生きるのです。