岸から4.5キロ、夜中の3時ごろ、周囲は暗闇、そして荒れ狂う波が渦巻く状況。最悪の湖上でイエス様は「しっかりしなさい。わたしだ。恐れることはない。」と舟にいる弟子たちに声をかけられました。すると、ペテロが「主よ。もし、あなたでしたら、私に、水の上を歩いてここまで来い、とお命じになってください」と言いました。そのとき、イエス様は、ただ「来なさい」と言いました。
　ペテロの信頼の強さが窺えます。彼は、イエス様が見守り、導いてくださるからこそ道なき道を、ただまっすぐに歩き出しました。ペテロのイエス様に従う思い、信頼する心は立派です。舟から出て彼は、一歩一歩、荒れる波の上を歩いて行くことができました。
　しかし、ペテロは一瞬、そこに吹いている風に気を取られ、沈みかけ、恐れて思わず叫びました。「主よ。助けてください。」イエス様は「すぐに」手を伸ばして、すぐ側でペテロをつかんでくれました。イエス様は、ペテロが舟を出たその時から、ペテロの心に寄り添っていてくれたのです。それは、彼の信仰が立派なものであったからではありません。風が吹けば体も、心もバランスを崩し、すぐに溺れてしまう弱いペテロを、イエス様が初めから見守っていてくれたのです。
　信仰の旅路とは、自分の力や能力や知恵では歩んで行くことが出来ないことを知っていく旅なのです。一歩一歩、主の手にひかれて主に頼り、主に助けを求めて、導いてもらう旅路なのです。だから、日々祈り、みことばを必要とし、いつも主に頼るのです。その人の横にいつも主はいてくださるのです。主を慕い求め歩むならば、主は私たちから決して目を離しません。ですから、いつも主よ、共にいて守ってくださいと幼子のように頼り祈る者でありたいと思います。