あなたの王は?

 イエス様がお生まれになったとき、東方の博士たちがエルサレムに来たのは「ユダヤ人の王としてお生まれになった方はどこにおいでになりますか」という問いでした。「それを聞いて、ヘロデ王は恐れ惑った。エルサレム中の人も王と同様」でした。

 ヘロデ王は自分の政権や立場が脅かされる恐れを覚えました。疑い深い王はいままでも側近や自分の妻子ですら闇に葬ってきた人物です。ベツレヘムとその周辺の二才以下の男児を一人残さず殺害し、身を守ることに徹します。エルサレム中の人も王と同様であったのはどういう思いであったのでしょうか。民衆の願いはいつも「安心」です。争いを好む人などごく一部に過ぎません。新しい王の誕生と聞けば、戦争の噂、内乱の勃発、巻き込まれる市民生活、みな恐れ惑うのです。

 地上の王、それは目に見える支配ですが、イエスがこの世に来られたのは、神の国の王としてです。この世の権威や国境、民族や男女の差すら超えた神のご支配です。地上の王は常に保身が優先し、新しい王の誕生には血なまぐさい争いが起こります。しかし、神の国の王は人となってこの世に来られ、痛みと悩みを覚え、取税人や罪人、遊女たちと食事をなさり、自ら命を捨ててくださった愛の王です。

 私たちの思いの中には、何者にも支配されたくない、自分の思い通りにしたい思いが必ずあります。しかし、すべてのことにおいて愛がそれよりも大切です。そして、愛の王であるイエス様を心の中心にお迎えしなければなりません。常にどんなときでも、王はどのようにしてくださっただろうか、自らの内にあるものではなく、王なるお方のご支配に従うなら、あなたも神の国の愛を喜び生きる「安心」をいただけるのです。主よ。王よ。私の心に住みたまえ。