すべての結婚の原点は

 先週はI兄とW姉の結婚式が祝福のうちに行われました。私たちは恋愛・エロスによって世に生まれ、愛情・ストロゲーの愛によって育まれ、友情・フィリアの愛によって生きがいを見いだす。そういう者です。

 夢のない話で申しわけありませんが、恋愛の賞味期限は3年というところでしょうか。始まりにはどうしても必要な起爆剤。しかし長続きはしません。愛情、それは気持ちや心に左右されます。そう思えるときもあれば思えないときもあるものです。友情はギブ・アンド・テイク。私もするからあなたもしてね。そういう性質を持っています。しかし、そのバランスが崩れ、いつも私ばっかりというような不平が心にもたげてくるもの。人の愛はそういう限りある性質を持っています。

 結婚の始まり、それはすべてのことが新鮮で、輝いて見えることでしょう。けれども、その先には今は思いもよらない幾多の困難の時がやってきます。「こんなはずじゃなかった」という思がよぎるかもしれません。「健やかなときも、病めるときも、富むときも、貧しきときも」とは人生の困難の代表でしょう。傷つき悩み、困難を前にして、己の努力ではどうにもならないことが起こるのです。その時に二人を立たせるものは、限りのある愛ではなく、一言で言うならば「献身」。キリストの愛、十字架でいのちを捨てる愛、見返りを求めず、一方的に与え続ける愛です。

 それを心に留めて「いのちの日の限り」と誓約をする。それはいつもここに立ち返って思いを新たにする原点です。「あの日、あの場所で神の御前に誓約をした。主よ。その誓約を守らせ給え」との祈りに立ち返るべき原点です。新しい夫婦にそれをしかと覚えて始めることを確認するとともに、すべての夫婦がここに立ち返って歩むことをもう一度点検し、歩みを新たにさせていただきましょう。