前に進む以外は考えない

 「あの日から、前に進む以外は考えないと、決めました」とは、Fバプテスト教会のS牧師のことばです。S牧師とは前々から少々のお交わりがあり、常々不思議に思っていたことがわかりました。こういう心構えで生きてこられたのかと。

 Fバプテスト教会、H宣教師によって始められた戦後の1947年、当時の人口は2,700人という寒村でした。村人が宣教師の来村を喜び住まいを建てて迎えたといいます。1949年は57人もバプテスマを受け、クリスマス会には500人も集まったという宣教のスタートでした。

 ところが、ここも多分も漏れず、ブームが去った後の教会は困難の中で宣教が続けられていきます。初代牧師が30年の労苦した後、無牧になります。神学校に学んでいた佐藤師のもとへ、教会の高齢の姉妹が「招聘を決めたので、ぜひ卒業したら来て欲しい」と訪ねて来たのです。まだ、見たことも会ったこともない神学生を招聘することを決めた。今考えるとあり得ないような話なのですが、佐藤師もその熱意と信仰を見て、私も一緒に献げますと何もわからないまま、それを受けることを決めたというのです。

 「私たちは震災で、経験しました。明日はないと思っていてもることを。お金が無くても、生きることができる。大震災の時は、私たちもほんとうに辛かったけれども、何とかなりました。」「問題に直面したとき、悩んでも問題は解決しない。ならば悩むのではなく、次にどう行動できるかを考えるのだ。」そんなことができるんだろうかと思います。しかし、それこそ、パウロの言う「あらゆる境遇に対処する秘訣」(ピリピ4:12)なのだとも思います。同じようにはできないとしても、その信仰の姿勢に励まされ、また、見習いたいと思うのです。