「内閣総力戦研究所」という耳慣れない名を聞きました。開戦直前、平均年齢32才の各省庁や民間の若手実力者を集め、模擬内閣をして総力戦を想定したシミュレーションを繰り返しました。彼らは日米戦争日本必敗の結論に至りました。歴史に疎い私は何故日米開戦に至ったのかもやもやした思いを持っていましたが、猪瀬直樹「昭和16年夏の敗戦」を読んで少し理解が深まりました。どの国も、いわゆる第三諸国の資源と市場が欲しかったのです。アジアでの覇権を手にしたい各国、とりわけ米国からすれば、満州までを支配していた日本は邪魔な存在だったわけです。
資源のない日本はオイル封鎖をされ、南方、とりわけ資源豊富なインドネシアからの補給を確保するため、南方へ侵攻しました。しかしそれは次々打ち断たれてしまいます。
彼らは、「国力=オイル」は戦えるほどないという結論を出しました。開戦に至ったというのは、数のごまかしと希望的観測でどうにか勝てるだろうという見通し、技術もない石炭液体燃料化などの思い上がり、すでに日中戦争で死んだ英霊に対する思い、それが国民感情と結びつき、国をどうにかまとめなければならないという至上命令。各省庁の縄張り意識。そのために情報を隠して国民を欺き思想コントロールする。そのようなものが開戦へと引っ張っていったのです。
聖書は一貫して戦争の原因は欲だと語ります。そのためには尊い命をも犠牲にします。しかしその傷はより深いのです。永い痛恨を残します。今の原発事故の本質・体質もまた同じです。欲がコントロールできない魔物に化けるとき、人はそれに隷属させられます。神に立ち返る悔い改めこそが、真の自由への鍵、真の救い・解決であることを深く心に刻み、祈らなければならないことでしょう。