国際的なシンクタンクである経済平和研究所は世界平和度指数(Global Peace Index)を発表しています。社会の安全と治安、継続中の国内および国際的な紛争、軍事化という3つの領域の23の指標によって評価するものです。それによると、2024年、10位までは、アイスランド、アイルランド、オーストリア、ニュージーランド、シンガポール、スイス、ポルトガル、デンマーク、スロベニア、マレーシアで、日本は第17位です。一方、ワースト5位は、イエメン、スーダン、南スーダン、アフガニスタン、ウクライナです。
戦後、70年間戦争をしなかった国は、国連加盟193か国のうちアイスランド、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、スイス、ブータン、日本の8か国です。日本は明治27年(1894年)の日清戦争以来、戦争を繰り返して来ました。それが敗戦とともに軍事解体が行われました。戦争をしない国は世界的に見ると極めて稀なのです。
日本は世界で唯一の被爆国であり、主要都市をみな空襲で失い,地上戦となった沖縄、南方へ突撃した若者たち、多くの人たちが犠牲となりました。また、アジアの諸国に多くの痛みを与えました。その惨禍を繰り返してはならないという思いが息づいています。「戦争を知らずに、僕らは生まれた」という歌も過去のものとなり、時代が変わり、世代が変わると、それだけではそれを堅持できないような力もまた働いています。
私たちの生きる世界は自国だけでは完結せず、複雑に関係しあっています。しかし私たちの視野は狭く、身近なことにしか関心が向かない小世界を生きてはいないか問われ、祈りが拡げられることを願います。広く浅くではなく、人の罪の理解の深み、神の愛の深さがより多くの拡がりをもって祈りに向かい、委ねられた「地の塩、世の光」としての務めを果たすことができるように、平和をつくり、平和を祈ることができるようにと願います。