暗闇を嘆くより、ろうそくを

 「暗闇を嘆くより、ろうそくを灯したほうがいい」ということばを残して、M姉がボリビアに旅立って行きました。世界の惨状、暗闇、今のこの日本で暮らしていると実感に乏しいのが私たちではないでしょうか。そしてそれを見ても、肌で感じていないところに実感は乏しいようにも思います。

 姉は、ずっと関心を持ち続けていました。国際NGOのワールド・ビジョンの活動など、とりわけ自身のライフ・ワークでもある世界の子どもたちのために自分も何かできないだろうかと心がけていました。しかし、日常の生活でいっぱいいっぱいというのもまた現実です。そんな中、一つの決断をしてその準備を始めました。そして、青年海外協力隊に応募し、訓練を受け、派遣へと進みました。

その現実は行ってみないとわからないことがほとんどでしょう。でも、また行ったことのないボリビアという国に飛び込んでいきました。その心意気があれば、また、意外とタフな彼女なら、どうにかやっていくだろうとは思いますが、私たちもそのために応援をし続けたいと思うのです。言葉の問題があります。スペイン語がメジャーな公用語で、都市部ではそれだけでいいようですが、これから覚えるのは大変なことです。米と味噌汁が恋しくなるでしょうし、持っていったiphoneは「盗まれるから誰にも見せてはいけない」と言われているそうです。

 チェ・ゲバラが解放を目指したことで知られるように貧困と政治の不安定があって、資源に恵まれながらも貧しい国。彼女の奉仕はろうそくを灯す小さな小さな働き。でも、それが光となり、あるいは未来をつくる子どもたちがその光によって力づけれて、次の時代をつくることができるように私たちも祈りに覚えて応援し、励ましを続けたいと思うのです。