ノーボーダー(NO BORDER)とは境界のない世界。カップラーメンのコマーシャルでいつも流れます。国境や民族、言語や慣習を越えてつながり合う世界への憧れを表しているのでしょう。現代はグローバリゼーションの時代だと言われます。海外観光旅行が解禁されたのは1964年、ちょうど50年前のことです。それでも一ドル360円、外貨の持ち出し制限があり、海外へ行くのは夢のまた夢でした。ところが今や海外は決して遠くありません。そればかりかインターネットの発達などによって政治や思想、文化や娯楽、人も経済もあらゆるものが時間も場所も越えて境なく行き交います。
もう一つ、時代の特徴は「自由」です。人を縛り付ける慣習や地縁、家族が急速にその影響力を失いました。私が何をするも私の自由、隣の人が何をするも自由。せめて迷惑は掛けないようにね、というのが社会通念として通るようになりました。
だだっ広い大広間のどこに寝てもいいよと言われたら、どうするでしょう。おそらく落ち着かないと思います。隅に衝立でも立てた方が落ち着きます。囲いのある空間に守られている安心があるように、実のところ私たちは何もかもが自由というところに置かれたとき、ふわふわと落ち着かないのです。
このような時代背景の中にあって、自分の居場所、生きる場所をしっかりと確立することは簡単ではありません。地域社会の枠で守られる時代ではありません。何でも自由ですが、逆に孤立しています。外へ開けず、殻に閉じこもってしまう若い人たちも少なくありません。成人の日に祈りたいと思います。これからを生きる若い人たちが、主に命与えられている私、主に愛され生かされているている私、使命与えられている私、それが1本筋通ってしっかりと立つことができるように。