M先生の語る第一人称

 全国総会では、M先生が特別講演をしてくださいました。

 初めてお目にかかりましたが、80歳にして知性と喜び溢れる、おちゃめなおばーちゃま(失礼!)。語ることばに惹きつけられました。その一部をご紹介します。

 先生は空襲の焼夷弾で防空壕に生き埋めにされたところを救出されたのが11歳の夏。5代目クリスチャンとして戦前から戦中、戦後をくぐり抜け、戦後はフルブライト奨学生としてホイートン大、ハーバード大で学び、長く東京基督教大で教鞭ととられた後、東京女子大の学長として奉職されました。

 途上、44才のご主人を天に送り、女手一つで3人の子どもたちを育てます。教育者として研究者として、妻として母として、一貫して「女性として生きる、人として生きる」ということを問うてこられました。留学先の若き日、シカゴの路頭で目にしたのは、キング牧師が「私には夢がある」と語る熱いメッセージでした。民族も肌も、男も女も、すべてを乗り越えるのは、生ける絶対者なる神の御前での「私」だと話されました。

 とかく日本人は二人称に生きている。周りを見渡して自分の立ち位置を決める。夫婦間でも、家族の中でも、社会の中でも。「主にあって、私は」と自立することが大切なのです。大学教育の中ではリベラルアーツ(単に知識を求める専門バカではなく、人間とは何か、人生の意味は何かを問う英知を養う教育)と叫ばれる中、それを真に担うことができるのは、聖書に教えられるキリスト信仰のみなのです。そこに立つときにこそ、「いつも喜び、絶えず祈り、すべてのことに感謝する」歩みを「私」として生きることができるのです。そう話されました。