長く学んできたペテロの生涯、福音書に読む彼の生涯と重ね合わせるときに、その教えは重みを持って私たちに迫ることばです。
「愛の口づけをもって互いにあいさつをかわしなさい」という勧め、それは1:22にでてきた「あなたがたは、真理に従うことによって、たましいを清め、偽りのない兄弟愛を抱くようになったのですから、互いに心から熱く愛し合いなさい。」という教えそのものです。罪によって分断された人の交わりが主イエス様の十字架と復活のゆえにもうひとたび回復した。それを生きよとの勧めです。
この手紙を託されたシルワノ。彼は使徒の働きの中でシラスという名で出てきます。教会の指導者の一人であり、パウロの第二次伝道旅行の同行者です。一方ここに出てくるマルコはその伝道旅行には連れて行けないとパウロにダメ出しをされた人です。また、ペテロはパウロに割礼派に関する行動を非難されたりします。誰もが弱さを抱えている。失敗を犯す。それがゆえに教会に、兄弟姉妹の間にも相容れないような思いや考え、交わりを壊すようなことが働きます。しかし、長い時間をかけて愛によって交わりが築かれるのです。その証しは大きな励ましです。
「キリストにあるあなたがたすべての者に、平安がありますように」という祈りを込めた挨拶があります。一方で、「バビロンにいる、あなたがたとともに選ばれた婦人たち」。このバビロンとは文字通りのバビロンではなく、かっての捕囚のバビロンであり、人を惑わす強大な悪魔、黙示録の大淫婦バビロン。世の中から言えば力のない者たちですが、委ねる平安がある。それがあなたがたにもあるようにとペテロは祈るのです。先にも学びました。何者でもない自分が選ばれた。だからこそ委ねる平安を生きましょう。