「受けるよりも与えるが幸い」使徒20:33-38

 大切なことはいつもシンプルです。「受けるよりも与えるほうが幸い」という教えも実にシンプルです。ところが、私たちがそれを複雑にしてしまうのです。この主イエスのことばは福音書に直接書かれていませんが、主イエスがどのようにそれを表されたのかを見てみましょう。

 ルカ6章では「あなたの敵を愛しなさい。自分によいことをしてくれる者を愛すのは当然のこと。天の父があわれみ深いように、あなたがたもあわれみ深くしなさい」と父なる神の愛に目を向けることをイエスは教えました。また、イエスご自身もヨハネ13章の洗足のできごとに続いて、「私があなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい」と愛の基礎がご自身の愛に基づいて、十字架で自分を捨てた愛に従い生きるようにと私たちを招いておられます。

 使徒パウロは、ローマ15章で「力のある者は力のない者の弱さを担うべきです」と奨めました。平たく言えば、できる人はできない人の分をやってあげなさいということです。実際パウロはそうしてきましたし。それが「労苦して弱い者を助けなければならないこと」です。それは交わりにある者たちが一緒に経験してきたことです。それを振り返ってそこには「キリストでさえ、ご自身を喜ばせることはなさらなかった」という常にイエスを見上げる生き方が底にあることを確認するのです。

 あなたはどうでしょうか。複雑に考えすぎてはいませんか。言い訳をしていませんか。私たちの周りに労苦はつきもの。さらりとうまくことが運ぶことなどありません。問題に振り回されるのではなく、それを乗り越えたイエスを見上げるとき、私たちはそれに立ち向かう勇気をいただくのです。

録音データを聞く