「父よ、彼らをお赦しください」ルカ23:32-43

 受難週を迎えました。イエス様のエルサレム入城、人々は「ホサナ、ホサナ」と喜び迎えました。それは、イスラエルをローマの圧政から救う期待でした。一方、イエスの与える救いは罪からの贖いです。「父よ、彼らをお赦しください。彼らは、自分が何をしているのかが分かっていないのです」のことばを中心に3つのことを覚えましょう。

 第一に、私たちは自分でもわからぬほどに罪深いということです。イエス様が祈られたのはま自分を十字架につけた者たち。民の指導者、ピラト、群衆たちです。そしてイエスを裏切ったユダ、逮捕とともに逃げ去った弟子たち、三度否んだペテロ。さらに私たちもそうです。神から離れているゆえに、羊のようにさまよい、罪を犯し、それにすら気づかない愚かな姿、そのために、イエスは祈られました。

 第二に、イエス様は最後の試みに打ち勝たれて、命を捨てて愛を全うしました。荒野の誘惑から始まって、ゲッセマネの園での祈りまでイエスはずっと試みを受けてきました。そして、この十字架は最後の試みでした。イエス様は山上の説教で「自分の敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい…天の父が完全であるように、完全でありなさい」とお教えになりました。しみもしわもないきよいご自身をここで試みに打ち勝ってささげ尽くし、代価を払って買い戻す贖いをしてくださったのです。

 その贖いを唯一、ただ一人わかったのが、一緒に十字架に架けられた犯罪人のひとりです。彼は自分の罪を告白します。そして、イエスに「思い出してください」と願いでるのです。その願いに応えて、「あなたはきょう、わたしとともにパラダイスにいます」と救いのことばをいただきました。この世に残している未練も後悔も、死にゆく恐れも不安も、すべてを吹き飛ばす救いのことばをいただいたのです。

 私たちのために、赦しを祈ったイエスを信じることこそ、救いをいただく鍵なのです。