「進んで損をする話」ルツ4:7-12

 ルツの求婚にボアズは即断即決でことを進めます。キーワードは「買い戻しの権利」です。それは、元来、自分のものを代価を払って買い戻すということを意味することばです。何らかの事情で、土地を売り、あるいは身売りして奴隷にならなければならないような状況になったとき、それを親類が肩代わりして取り戻すのです。つまり、買い戻しというのは進んで損をして親類を助ける、そういう制度です。
 その家から男手が絶えたときには、先祖から受け継いだ地を途絶えさせないためには、死んだ者の妻を自分の妻としなければならないという定めがありました。ルツの求婚には、この買い戻しが必須だったのです。そして、ボアズよりも近く買い戻しの権利のある親類がいたのです。
 ボアズは町の門、当時の正式な取引のなされれる場に行き、その親類、そして町の長老たちを招いて手続きをします。すると、近い親類は「自分自身の相続地を損なうといけませんから」と言います。買い戻しの権利の行使がどのように行われたのか定かではありませんが、そこまでの重荷は追いきれないと判断したのです。逆に言えば、ボアズはそのすべてのリスクを負い、進んで損をしても買い戻そうとしているということです。
 ボアズの買い戻し、それは「型」、贖いの型です。アドベントを迎える私たち、キリストこそが、すべての人の贖い主としてこの世に来てくださった。しかもその贖いのために自ら持てるものを投げ打って、進んで損をし、その身を献げて仕える「しもべ」となってくださったのです。神は私たちをご自分のもの、熱烈に愛しておられるのです。だから、大きな代価を払って、買い戻し、取り戻したいのです。そして、元々持っていた麗しい関係に戻したいと願っておられます。この恵みに心から感謝しようではありませんか。