来春、こども家庭庁が創設されます。その是非や効果は別として、背景には少子高齢化する社会を国としてどうにかしなければならないという意識の表れでしょう。少子化の指標には合計特殊出生率など難しい用語も多いのですが、わかりやすいのは出生数です。第二次ベビーブームのピークは1974年。出生数は約209万人です。今の48歳の年齢の人たちです。そして、2021年、その数は約81万人。たった4割しかいないのです。その数の方がリアリティーがあります。
こどもを産み育てる若い世代には生活の厳しさがあります。非正規雇用やブラック、終身雇用が崩れて安定して結婚できる環境がなかなか整いません。ワンオペ育児や保育園難民ということばが生まれるような中、ひとり親家庭や虐待などの問題も顕著に見聞きするようになりました。
その少なくなった子どもたちの生きる現実にも厳しい現実があります。こどもの貧困という話題をよく聞きます。それは「絶対的貧困」ではなく、「相対的貧困」。国や社会、地域など、一定の母数の大多数より貧しい状態のことで、7人に1人の子どもが「相対的貧困」の状態にあるといわれています。クラスに40人の生徒がいたとすると、そのうちの5~6人は、衣食住に余裕がなく、さらには家族と旅行をしたり、塾に通ったりということもできない状況にあるのが現実です。
こどもは社会の縮図。旧約聖書に繰り返し出てくるのは、神への不信仰の結果、社会の中で取り残された小さな子どもたち、とりわけみなしごたちが省みられない人の罪です。「あなたは、あなたの神、主の聖なる民だからである。主は地の面のあらゆる民の中からあなたを選んで、ご自分の宝の民とされた」(申命記14:2)とあるのが私たちです。「子どもたちは宝!」として大切にされるために大切なことは、私も神の宝とされているという恵みなのです。