クリスマス考

 キリスト誕生の正確な日は誰にもわかりませんが、クリスマスの祝いは四世紀半ばからローマで12月25日に祝われるようになりました。ローマ人たちはこの日を「太陽の誕生日」として祝っていたことに関係しているという説が有力です。冬至の日を境に日が長引くのを「太陽の誕生日」と呼んだわけです。そこから「世の光」、「義の太陽」である主イエス・キリストを連想させられ、「真の太陽」、「不敗の太陽」と呼ばれました。

 その起源が異教の祝祭にあるために、クリスマスが異教的なものになったり、世俗的になる傾向もありました。そんな訳で宗教改革が起こったとき、ピューリタンたちはクリスマスを祝うことを止める法律までつくりました。しかし、人々の心の中にはクリスマスを祝いたいという思いが強く、自粛政策が終わると、素朴なクリスマスが祝われるようになります。ディケンズの「クリスマス・キャロル」などはこの頃の作品です。

 初代キリスト者たちが、キリストの死と復活を記念していたことは聖餐式として聖書の中にでてきますが、降誕を祝っていたという記事はでてきません。しかしながら、聖書の中で降誕物語は特別なものとして描かれています。マリヤの賛歌、ザカリヤの賛歌、天使の賛歌・・・羊飼いや東方の博士たちの礼拝。クリスマスはやはり救いを与えてくださった神を讃える大切なときでしょう。

 年の暮れということもあり、あわただしく過ぎていくことの多いクリスマスの時ではありますが、むしろ、一年の歩みを振り返り、救いをなしてくださったキリストに導かれたことに感謝をささげ、心からの賛歌を歌うことこそクリスマスに最もふさわしいことだと思うのです。そして、本当のクリスマスの恵みを世に告げ知らせることができるようにと祈ってやみません。(2010.12.19再掲)