インドの東に位置するこの国は大河ガンジス川とブラマプトラ川を合わせる河口に至るデルタ地帯に位置します。デルタ地帯は肥沃で水に恵まれています。人口の62%は農業に従事し、二期作、三期作をも可能にする「緑の革命」によって、近代農業化されていますが、熱帯のモンスーンによって毎年のように洪水を受け、耕作地域のほとんど浸水を受ける国でもあります。
国名はベンガル語で、バングラが「ベンガル(人)」を、デシュが「国」を意味し、あわせて「ベンガル人の国」となります。人口は1億5,250万人(2013年3月)、その98%がベンガル人でミャンマーとの国境地域に少数民族がいます。その宗教は圧倒的にイスラムでその数89.7%、ヒンズーが9.2%、仏教0.7%、キリスト教は0.3%に過ぎません。
近代に至るまでは古代文明が発達したところですが、15世紀末にはヨーロッパの貿易商人が訪れるようになり、さらに17世紀にはアジア最大の対欧輸出地域となって「黄金のベンガル」と呼ばれる時代を築きました。18世紀には東インド会社によって植民地化されましたが、民族運動が盛んになると1905年にベンガル分割令が発布され、ヒンズー中心の西ベンガルとイスラム中心の東ベンガルに分割されました。インドの独立の1947年後にはヒンズー地域はインド、イスラム地域は東西パキスタンとして分離独立しましたが、さらに東パキスタンは独立を求めてバングラデシュ独立戦争が起こり、1971年に現在のバングラデシュが独立しました。
国は多発するサイクロンや氾濫などの自然要因のほか、インフラや社会資源の未整備、産業構造や政治的不安定などによって世界最貧国の一つに数えられています。とりわけ、イスラムが支配的な中にあっての福音宣教、それは祈りに覚える一つです。