先日、獣医の先生とご一緒する機会がありました。その先生が動物を飼うススメをなさるのです。それは人より寿命が短い動物は必ず看取らなければなず、その死、看取りを通して人の死や自らの死について考えるからだと言います。犬の平均寿命って何歳くらいですかと尋ねると、おおよそ13歳だと教えてくださいました。
単純計算で13年に一回、親しく過ごした犬の死を経験するわけです。その喪失感、空虚感、一方でともに過ごした時間の尊さや大切な思い出。別れを経験しなければわからないことはたくさんありす。考えてみると、人を看取るという経験は多くはありません。とりわけ幼い頃や若い頃にそのような経験をすることは稀です。子どものうちから死や別れを動物を通して経験するということが、いのちを考える上で大切なことを教えてくれるとおいうススメなのです。
また、動物病院は保険診療ではありませんから、延命とういことにどれだけのお金をかけるかというリアルな問題が人の場合以上に問われると言います。獣医でなければわからないようなことは少なくなく、その診療はブラックボックス。自分の家族の一部になっているペットにかわいそうな思いをさせたくないからと任せっきりになってしまうことも少なくなく、いのちそのものを問うことになるのだと言います。そして、それは人にも通じることなのです。
動物を飼うということは、いのちを扱うこと。そして、そこで経験したことはいのちについて深く考え、必ず自分のいのちについてプラスになるなだと教えてくれました。もっとも私にはそこまでするゆとりがないのですが、なるほどと考えさせられたことでした。限りあるいのちを生きること、いつも問いかけ続けることは大切なことですね。