平均寿命と死、「生」の意味

 聖書には「人の齢は70年、健やかであっても80年」と言われます(詩篇91:10)。2015年の日本人の平均寿命は男女とも80歳を超えています。平均寿命というのは、その年に生まれた人が何歳まで生きられるかを示したもの。ですから、自分の年齢の人が平均して何歳まで生きるのかというのとはちょっと違います。それでも、それは確実に伸びています。

1891-1898年、男性42.80歳、女性44.30歳

1921-1925年、男子42.06歳、女性43.20歳

1947年、男性50.06歳、女性53.96歳

1690年、男性70.19歳、女性65.32歳

2015年、男性80.79歳、女性87.05歳、男女平均83.7歳です。

 そんなに違うのか!と思うほど、戦前の平均寿命と今とは違います。一番大きな要因は乳幼児死亡率が大幅に減少したこと、医学の進歩で病死が減ったこと、食糧事情の安定化などの他、戦死がなくなったことも大きな要因です。生きている感覚では、もうちょっと長いように思うのですが、平均を押し下げる大きな要因があったのです。

 私たちは身の周りしかわかりませんが、世界に目を向けると、アフリカでは、軒並み60歳前後以下、最も短いのがシエラレオネの50.1歳です。それらの国々では、戦後の日本が平均寿命を延ばしたような要素がないということでしょう。

 そうなると命の考え方も大きく違うのではないでしょうか。私たちは年をとって順番にお迎えが来ると考えますが、死は命と隣合わせ。そうだとしたら、今の「生」の意味はもっと深い。命を軽んじるような出来事を見るにつけ、私たちは心を痛めます。それでは今の命をどのように生きるべきか。そこにどんな意味や喜びをつくるのか。日々、問い直し続けたいと思います。