世のお母さんたち、ただ一つ願うことは子どもの幸せ。それはお腹にいるときからはじまります。そして、生まれてきてからも与えて与えて、与え続けます。赤ちゃんが返せることはニコッという笑顔とごきげんな様子や仕草だけ。それですべてが報われる。お母さんは世界共通、みなそれを喜びとして生きています。お母さんには終わりがありません。生きている限り、子の幸せを願うのです。
子どもが痛んでる。苦しんでる。どうにかしてあげたいと思っても、どうにもできないときがあります。それは自分で乗り越えなければならないハードルを越えなければならないときです。もう、手の届かないところにいて、見守ることしかできない。そういうときがあります。それでも母の願いは元気でいてれること。ただそれだけです。
今、ウクライナで、あるいはロシアで息子を兵士として送り出さなければならない母たち、あるいは避難先に、あるいはその地に残さなければならなくて離ればなれ。その先を不安の中に置かれている母たちがたくさんいます。戦争の度に、紛争の度に同じことが起こります。大義というものの影に引き裂かれるのは小さな幸せであり、それは私たちのかけがえのない毎日です。
教会の庭に「ピース」というバラをI姉が植えてくださいました。フランスの育種家フランシス・メイアンによって作出されたものです。戦中にアメリカ、ドイツ、イタリヤにも苗木が送られました。彼は早逝した母に捧げて「マダム・アントワーヌ・メイアン」と名付けますが、戦火の中失ってしまいます。1945年、アメリカに渡ったこの花は「ピース」(平和)と命名され帰って来ました。ドイツでは「グロリア・ダイ」(神の栄光)、イタリアでは「ジョイア」(歓喜)と名付けられていました。小さな幸せ、平和。それが母の願い。私たちはそれをともに求め祈りたいものです。