雨が降って洪水が押し寄せ…

 川の水、くるぶしの高さまでは比較的楽に歩けます。膝下になったら、歩くに難儀し、股下で精一杯、腰まで浸かったら立っているのが精一杯で、流れが速ければ流されます。プールの水とは大違いです。水の力の恐ろしさ、次から次へと止めどもなく流れ込む水の勢いは止めようもなく恐ろしいものです。

 利根川の下流域、ちょうど鬼怒川と小貝川が合流する茨城県西から県南地方は幾度となく河川の氾濫を繰り返してきました。河川改修で川を真っ直ぐにしますが、古い河道は沼地になって残っています。水は低い方低い方へ流れようとしますから、古い河道へ戻ろうとするのです。しかも、海抜が低く、満潮時には海水が取手市あたりまで逆流すると言われます。流れていく先も水が溜まっていて流れきらないのです。あれだけの雨が一時に降れば越流、溢れ出すのも時間の問題です。一方でそれは肥沃な平野を作り、米どころとしてはよい場所です。見渡す水田。広々とした水田地帯なのですが。

 昨冬、茨城の実家に帰った折、すぐ近くの利根川に行ってみると大規模な堤防工事をしていました。なんでも今までの倍の高さの堤防の工事をしているんだそうです。洪水時は川の水の方が住宅地より高いのです。台風や大雨で水位が上がると消防車が警戒を呼びかけ、なんだか不安な気持ちになるそういう場所です。

 それでもまさか、堤防を乗り越えるなんて、切れるなんてと思うのです。私たちの経験や考える範囲はわずかに過ぎません。砂地に建てた家のたとえを思い起こします。「まさか!」と思うようなことが起こるのです。誰も責めることなんてできません。むしろ、何が起こっても揺らぐことのない堅い土台、神を信じる信仰の上に自分のいのちを築いているかをもう一度確認しましょう。