頂に至る道

 富士山に登ってきました。前回は28年前、雨霧の中。今回はピーカン。雲一つない快晴、日焼けがヒリヒリと痛いところです。さすがに世界遺産になって、その整備状況はとてもよくなりました。ゴミ一つ落ちていませんし、トイレはバイオトイレ。1回二百円のチップ制で維持していますから清潔に保たれています。登山道の整備状況もよくなりました。案内板やガイドロープ、浮き石一つありませんでした。相当な手間をかけて整備がされています。

 ビックリしたのは登山者の外国人比率。ザッと見たところ七割。もはや日本の富士山ではなくて、世界の富士山。外国人は入れ墨をしている人がそこそこいますが、向こう臑に富士と桜を彫っている人がいて、これまた驚きです。それにしても、少々危なっかしい人がいます。足下だけはそれなりの靴を履いているのですが、持ち物が少なすぎます。もしものときのカッパや防寒着、食糧もない。小屋に逃げ込んでどうにかなると思っているのか、それとも向こう見ずなのか。

 それでも、山頂に立つには誰も条件は同じです。老若男女関係ありません。雨も風も季節も天候も、みな同じ条件です。どんなに体力に自信がある人であっても、暴風雨の中で登るのは無謀です。

 それぞれのペースでいいのです。一歩一歩でいいのです。それを繰り返すなら、遠くに見えた頂も少しずつ、少しずつ近づいてきます。その一歩が確実に前進しているのですから。頂があまりに遠くに見えるとき、あるいは雲霧に隠れてしまうとき、私たちの人生にもそのような時が少なくありません。でも、今の一歩がとっても大切なのです。くじけてしまいそうになる心に主の励ましをいただいて、一歩、一歩。それは確実に頂に向かって前進しているのですから。