ペテロの手紙のキーワードの一つは「選び」です。神のあわれみによって選ばれた。その生き方は「互いに熱く愛し合え」。それはキリストの足跡に従うことです。それは一方で義のための苦しみを受けます。
ハドソン・テーラーは中国奥地伝道団の創始者です。彼は福音のためなら、どんなことでもしました。英国紳士がそのプライドを捨て、中国服を着、中国人の髪型をしました。それでも何度も迫害に遭いました。その中でももっとも大きな者は揚州暴動事件です。彼らの借りた家の周りを1万人を超える暴徒に取り囲まれました。宣教師たちは子どもを食べ、妊婦の腹を裂くなどという中傷ビラを撒かれたのです。大きな脅かしでした。
そして、それは英中間の外交問題にまで発展します。危険を冒して宣教を続ける彼らは批判され、支援者も献金も減るような事態にまでなりました。私たちは批判や脅かしに弱いのです。そして、心乱れ、動揺すのです。それは外から来るもののよりも、私たちの内側にあるものが問われます。
何が私たちを支えるでしょうか。ペテロは言います。「むしろ、心の中でキリストを主としてあがめなさい。」(15)これこそが、私たちをどんなものからも守り支えるものです。この手紙を書いたペテロこそ、脅かしに負けた苦い過去を持っているのです。だからこそ、彼はここで言うのです。心が動揺してしまうような自らの力によって生きることではなく、キリストを主とあがめることにあなたの心を向けなさい。よみがりの主の御前に、こんな私をも召してくださる。ならば、自らの弱さではない、ただ主に心を向け、ただ主に拠り頼もうと彼は新しい人に造り変えられました。そして、それはどんな信仰者にも同じ確信が必要なのです。