「歴史は語る」使徒13:13-23

 パウロたちは新しい町に行くと、ユダヤ人の会堂から伝道を始めました。ユダヤ人たちが安息日ごとに礼拝を献げる生活をしていたからです。彼らは聖書の朗読を重んじ、神のことばを聞いていました。旧約聖書は私たちにとって決して読みやすいわけではありません。国が違い、文化が違い、民族も違う歴史だからです。しかし、そこには歴史の中で一民族を通して表された人の現実と神のみわざを学ぶことができるのです。

 ここで語られるイスラエルの歴史はアブラハムから始まってダビデ、そしてダビデに約束された救い主イエスに至ります。その中に一本通っている筋は神の選びと契約です。神はアブラハムを選びました。彼に何か優れたところ、よいところがあったからではなく、恵みによる一方的な選びです。神は契約を結ばれます。人間の契約は通常、甲乙双方が対等です。しかし、神の契約は一方的に誓った通りを果たされるのです。エレミヤ31:3ではこう言われます。「永遠の愛をもって、わたしはあなたを愛した。それゆえ、わたしはあなたに、誠実を尽くし続けた。」神はそのようなお方なのです。

 もう一つ大切な筋は贖いです。贖いとは代価を払って自分のものを買い戻すことです。エジプトから贖われたのは子羊の血によってでした。律法は幕屋での礼拝、つまりいけにえによる贖いとセットでした。罪ある人間は贖いなしには赦され、きよめられることはありません。しかし、神は愛のゆえに贖いをなすのです。

 なお「あなたがたは、代価を払って買い取られたのです。ですから自分のからだをもって、神の栄光を現しなさい」(第一コリント6:20)とあるように、キリストの贖いによって救われた私たちを招いておられるのです。

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