いのちの受け止め方

 2017年の日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳です。それは平均であと何年生きるかという平均余命の見込みを推計したものです。ですから、私たちが実際肌で感じている寿命とは少し異なります。明治期では女性44.85歳、男性43.97歳、1950年には、女性61.50歳、男性58.00歳でしたから、短期間で飛躍的に伸びました。また健康寿命という指標があります。それは「心身ともに自立し、健康的に生活できる期間」です。山梨県は2016年、男性では全国一の73.21歳、女性が第三位の76.22歳。これも平均値ですから、人によって個人差が大きいものです。

 いずれ、人には必ず老いが訪れ、やがていのちをお返ししなければならない時がやってくることだけは確実です。ところが、どんなにその時が来たらと考えていてもその時が来ないとわからないことがあります。人のことはあれこれ言えてもいざ自分のこととなるとその年齢になってみて、初めてわかるということが実に多いのです。

 長寿をいただくということは祝福です。時代の流れの中で多くを見聞きし、悲しいこと辛いことも多く経験したことでしょう。一方で、それを乗り越え、あるいは忍耐を強いられた中で見いだした宝、感謝、喜びというものも、深いことがありましょう。

 ヤコブはエジプトで、「私の齢の年月はわずかで、ふしあわせで、私の先祖のたどった齢の年月には及びません」と言います(出エジプト47章)。まさにそのような波瀾万丈な生涯でした。傲慢、裏切り、恐れ、飢饉、悲しみ、憂い。一方、彼はいのちの終わりに、息子たちに「きょうのこの日まで、ずっと私の羊飼いであられた神。すべてのわざわいから私を贖われた御使い。この子どもたちを祝福してください。」と祝福を祈ります。私の持てるものよりも、神の恵みに守られたということを喜びとしたということです。あなたは自分のいのち、どのように受け取りますか。