原発はトイレのないマンションと例えられてきました。原発は核燃料を燃やして(核反応させて)お湯を沸かし、蒸気で羽根をまわして発電するという単純な原理で動いています。お湯を沸かすのに油を使うのは火力、羽根を回すのに水を使えば水力です。
ところが厄介なことに核燃料の取り扱いが非常に難しいわけです。どう扱っても放射線がありますから、それをどう閉じ込めてコントロールするのかに様々な技術を使っています。一方、燃やした後の使用済核燃料がまた厄介です。核燃料はウラン235が使われていますが、ウラン235は燃やすとウラン238とプルトニウムに変換されます。ウランの半減期は約44億年、プルトニウムは約2万4千年。永久になくならないと考えて間違いありません。また燃やす途上でできるセシウムが30年と途方もない汚染元です。
使用済核燃料はその管理に万の単位の年月がを要するので量を減らします。そのために再処理したのがMOX燃料です。これを再び通常の原発でウラン燃料を混ぜて使うことをプルサーマルと言います。そのまま使うのが高速増殖炉もんじゅです。ところが、もんじゅは事故続きで稼働禁止中です。再利用して量を減らしたにしても、最終的には最終処分として地下深くに埋めるしかありません。
そのサイクルはトイレがないままです。また、途上どうしても出る汚染水の処理が破綻し、現在、それは増え続けるばかりでとどまることを知りません。壊れたトイレから溢れ出す水を止められず、トイレには危なくて近づけない。さらに地下水がトイレに流れ込んで、汚れを流し続け、マンション中に汚れた水が溢れ返っている。八方塞がりの状況に置かれているのが今。遠くの出来事ではない。すぐ隣に迫っている危機のために「主よ。あわれみ給え」と祈りましょう。