ローランド・ビングハムの生涯(1)

 ローランド・ビングハム。彼は、SIMスーダン奥地宣教団(Sudan Inland Mission)の創始者。アフリカ奥地伝道に生涯を献げた主の働き人です。彼の伝記に触れる機会があり、その一部を何回かに分けてご紹介できればと願っています。

 私たちには、心が落ち込んで、気持ちが沈み、「主よ」と素直に神の御許に行くことができない時があります。聖書を読むことも祈ることもままならない。そんなときには、信仰者の伝記を読むことが大きな助けになります。時代時代を生きた信仰者たちの戦いは多種多様です。必ずしも今の自分と同じわけではありませんが、その歩みの軌跡をたどり、それを追体験することで、この戦いは自分だけではない。幾多の信仰の先達たちも同じように悩み、傷つき、ときに倒れながら、また労苦多く、実が少なく思えることであっても決してむだではないことを励まされて、私たちは勇気をいただくのです。

 さて、彼の少年時代、思いもかけず父親が急死します。天然痘の予防接種の副作用でした。レンガ工場と製材所を経営していた父親ですが、その資産は投資されており、家族には生活に窮します。母は雑貨店で生活をやりくりし、彼はわずか13才で学生教師になります。しかしそれもつかの間、職を失います。それは彼が儀式を重んじる国教会ではなく、信仰を大切にする無認可教会で教会生活をしていたからです。

 信仰を守るために、また、その信仰にふさわしい生活をしようと願うとき、残念ながら世のあり方と相容れないことが起こります。合わせないことで損をすること、彼のように職を失うようなことすら起こります。しかし主は私たちの必要を備え、養ってくださいます。主に信頼する者、失望することなし。彼はまだ若いそのときにそれを学んだのです。