戦後70年、教会の課題(3)

 国体の基である神道の神と聖書の神を結びつけて神国日本と混淆するあり方として、他にあるものの一つが日ユ同祖論です。日ユ同祖論は日本人とユダヤ人が共通の先祖を持つ兄弟民族であるとうい説です。

 それはすべて推測というか都市伝説というか、あるかないかわからないような話です。12部族のうち北イスラエルの10部族は先にアッシリアによって滅ぼされました。後からバビロンによって滅ぼされた南ユダは70年の捕囚の後に解放されて国の再建をしますが、散らされた残りの10部族が日本に渡来したという説や、12部族が来たと言う説などがあります。

 赤い鳥居と過越の出来事、神殿の造りと神社、それは確かによく似ています。契約の箱と神輿、こじつけのような似た言葉。「今解き明かされる○○の謎」というような興味本位のテレビ番組のような話ですが、そんなことを真面目に考えた人たちが教会の指導者の中にいたのです。そして、今もいます。代表的なのは中田重治。中田はホーリネス教会の監督でしたが、その教えと独自の再臨論がホーリネス教団分裂の発端になり、きよめ教会、現在の基督兄弟団、基督聖教団の元となりました。

 皇国的キリスト教や日ユ同祖論のように国家神道と混淆するあり方は、聖書の中では歴代の王たちが、次々とバアルの神やアシェラノ神、カナンの神々を取り入れたのに似ています。ソロモン王の初めはよかったのに、偶像礼拝に傾いていったのも同じです。そうすれば上手くいったからです。外交のため政略結婚した妻たち、持ち込まれた神々、富や目先の利益に目を惑わされていった結果です。真の神のみに従うこと以外のいかなるものも相容れないことを覚えなければならないのです。(つづく)