時代の変遷と伝道(6)

 1995年はIT(Information Technology、情報技術)・デジタルの世界にとって大変革の年となりました。この年、Windows95が発売され、同時にインターネットサービスが使えるようになりました。それまで趣味と仕事の世界だったコンピューターが誰でも使えるものになったのです。ここから雪崩が起こるようにネット社会へと進んでいくのです。
 携帯電話の普及は1990年代半ば頃から。i-modeが1999年、Yahoo BBが始まってブロードバンド(高速インターネット)が一般的になったのは2001年、iphoneが発売されてスマホが出てきたのが2007年、これ以降に若者世代を過ごした世代をデジタルネイティブ、つまり、幼い頃からネットが生活に当たり前に溶け込んだ世代です。そして、コロナはこのデジタル化の波を加速させました。Zoomの利用によって場所の垣根を越え始めたのです。
 この変革は、私たちの日常生活を大きく変えました。とりわけ、若い世代はそれが当たり前に育ってきて、コミュニケーションのあり方や情報伝達のあり方が大きく変わりました。しかしながら、教会の伝道ということでは、その変化の波に完全に出遅れたと言っていいでしょう。今や新しいことを始めようと思ったときにまず入口にするのはネット情報です。そもそもネットで情報のないところなど、信用されません。
 ネット空間は時間と場所の制限がありません。グローバルです。いったいどこを相手にしたらいいのか。「世界はわが教区」と言ったのはウエスレーですが、その際限ないことへの躊躇もあります。また、どんなに力を入れてもプロがやるようにはできません。ネット伝道のサイトもすでにいくつかあります。そして、やっぱり顔と顔を合わせてという旧世代の心もあります。そんなためらいを覚えている間に時だけが過ぎてしまっているというのが私の現在地です。でも、時代の文化に適応したことが求められているのは確かです。